小説(ライトノベル) 
『アトミック・ジャパン』  
 著者 筋肉勇次郎
 
注意:この物語はフィクションであり、もう一つの日本の運命を書いた『パラレルワールド』だと思ってください。この小説を作った日付は、2011年8月21日。
 
 
 
プロローグ
 
 2011年3月11日。
 日本の福島県にある福島第一原発で、チェルノブイリ原発事故と同じレベル7の事故が起きたことは皆も知っているだろう。
 その事故は、2012年1月に石棺という方法で何とか放射能漏れを防ぐことが出来、 日本はとりあえずの平和を得ることが出来た。
 だが、2012年12月21日、静岡県の浜岡原発が再稼働され、日本を再び暗黒のオーラが包み込んだのだ。原子力反対派は、2012年10月に政権を武力で勝ち取った『原子党』が組織した、『原子力推進軍クリーンズ』によって国家反逆罪として処刑された。人々は、嫌でも推進派になるしかなかった。
 2012年12月22日、午前0時00分、駿河湾を震源とする震度7の大地震が発生した。マグニチュード9.5。激しい揺れ、100メートルを超える巨大津波によって浜岡原発は完全破壊された……。

 

 

前篇

 2012年12月22日。
 あの日で日本はほぼ壊滅した。日本の国土の30パーセントは沈没し、90パーセントは放射能に包まれたのだ。
 生き残った者は日本を出ようとしたが、クリーンズの武装部隊の火炎放射器で、「この国を出る者は非国民、裏切り者である! 死ねい!」と焼き殺された。被ばくの影響で、体がだるくて何も出来ない人間も、「だらしがない! 死ねい!」と焼き殺された。
 この焼き殺しは、北海道の稚内に首都を移転した『原子党』の政策である。彼らは国家の一大事であると消費税を80パーセントに上げ、さらに国民を苦しめたのだった。
 だが、その悪にまだ立ち向かおうとするレジスタンスの存在があった……。
 
「良し、これでクリーンズに勝てるぞ」
 白衣を着た三十代の白髪の男、ドクター岡部。彼はついに、レジスタンス『ピース』の技術を結集した人造人間を完成させたのだ。
「さあ、目覚めろ。最後の希望、カナトよ!」
 ドクター岡部は、スイッチを押した。
 ウイーンウイーンウイーン。奇怪な音が錆だらけの鉄の研究室内に響く。すると、岡部の隣に寝ていた人造人間の目が開いた。
 青いワイシャツ、青い瞳、青い髪、整った顔。身長178センチほどの大きさの人造人間カナトは起き上がった。
「起きたかカナト。私の名はドクター岡部。君の生みの親だ。いいか良く聞け。今、この国は大変なことになっている。すでにレジスタンスは私を残して全滅した。私も体調が悪くて、毎日ゲロを吐いている。もう限界だ。お前はレジスタンスの意思を受け継げ」
 カナトは黙ってドクター岡部の話を聞く。
「すでにお前の脳には敵の総本部の場所がインプットされている。そこを叩け! 潰せ! 潰すんだ! お前の体は放射性物質など効かない! お前は空を飛べる! お前は手から波動砲を撃てる! お前は手からシールドを作れる! お前は無敵だ! ……グゲハァ!」
 ドクター岡部は血とゲロを吐き、息絶えた。
 カナトは、鉄の研究室を手から放つ青い波動砲で破壊し、さらに研究所を破壊した。自分が持つ能力を試すために。
「わかったドクター。この俺が、そいつらを倒す!」
 カナトは空を飛び、敵である『原子党』と、『クリーンズ』の総本部の北海道稚内を目指した……。

 

 後篇

 北海道稚内。
 ドクター岡部の研究所がある福島県から僅か1時間で、カナトはそこに到着した。
 早速カナトは、敵の総本部である新国会議事堂『アトミックパレス』に真正面から侵入した。
「緊急事態発生! 緊急事態発生! 侵入者が! 侵入者が、うわー!?」
 ドーン! ドーン! ドーン!
 爆風と爆音がアトミックパレスを包み込む。カナトの青色のエネルギーシールドの前では、火炎放射器など効かない。青い波動砲で次々に武装兵を消し去る。
 クリーンズの総司令、木田由美子は、紫色の長髪を揺らし、その美しい体を魅せつける様な服装で首相の元へ向かう。
「首相! 緊急事態発生です!」
 と首相室の扉を開けると、そこにはすでに首相は居なかった。
「クッ! あのオヤジ! 我々を見捨てて逃げやがったな!」
 由美子は首相の机をマシンガンで撃ちまくり、そこでカナトを待つことにした。
「来るがいい! 侵入者! 私は総司令、木田……」
木田由美子と、言おうとした瞬間青い光が由美子を包み、消滅した。カナトの波動砲である。
「フーフハハハハハ! フハハハハハ!」
 暗くて重い声が、首相室に入ったカナトに聞こえた。
「我が名はカナト! 首相! 隠れていないで出てこい! すでにクリーンズ、議員、大臣、全部始末したぞ! あとはお前だけだ!」
「見事だな青年! まさかレジスタンスが極秘で開発していると噂されていた人造人間が、こうして私のところに来るとはな!」
 首相、大和翼(やまと つばさ)は、豪華な黄金色のスーツ姿を地下室から出す。
「死んでもらうぞ。首相」と、カナトは波動砲を撃とうとする。
「まあ、待て。待ちたまえ。私はこの国の王だ。なんでも出来る。君が望む物を何でもくれてやろう。金か? 女か? 権力か? さあ! 言いたまえ!」
「望む物は、貴様の命だ!」
 カナトは波動砲を撃った。首相は消滅しながら、「やはり撃ったか! 馬鹿め! 私の命が消えた時、この国にマグニチュード13の大地震が来る仕組みになっている! もうすぐ海底に仕掛けた爆弾が……」と、言葉を残した。
 首相が消え、マグニチュード13の大地震が起きた。巨大な津波が日本の国土をすべて飲み込んだ。すべてが終わった。
 だが、カナトと、カナトが最後に何とか救えた稚内に居た少女。この二人が日本人の血を受け継ぎ、新たなる日本をきっと築くだろう。
  
 それは、まるでアダムとイヴのように……。
 
 
 
 
 
完。
 
 
 
 
 
 
 
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